相続税で控除されるもの
先に述べたように、相続税を支払う人は日本では4〜5%に過ぎません。
逆に言えば90%以上の人は、相続税を支払っていない(支払う必要がない)のです。
その理由は、相続税は相続財産に直接課税されるのではなく、相続財産(総課税価格)から各種控除を引いた後に課税されるからです。
1. 基礎控除
相続税にはまず基礎控除があります。
基礎控除の額は、「5,000万円 + 法定相続人数 × 1,000万円」で計算されます。
例えば、夫婦と子が二人いる家族で夫が亡くなった場合、5,000万+3×1,000万=8,000万円が基礎控除額で、相続財産から無条件で控除されます。
つまり、相続財産の総課税価格が8,000万円以下であれば、この段階で相続税を支払う必要が無くなるわけです。
このように、相続財産の全評価がこの基礎控除額以下であれば相続税はかかりません。
この時点で日本に住む大半の人が相続税を免除されます。
そして、遺産総額が基礎控除額を超えるとしても、相続税は基礎控除額を引いた金額だけにかかります。
なお、基礎控除額を計算する際、養子については制限があります。
養子も法定相続人になりますが、次々に養子を迎えて基礎控除額を上げるような乱用を防ぐために、基礎控除の計算の対象としていいのは、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までと定められています。
しかし、特別養子や、養子が被相続人の配偶者の実子の場合は、何人いても除外されません。
2. 配偶者控除
相続税の税額を計算する上で、基礎控除と並んで配偶者控除も大きな控除です。
妻や夫(配偶者)が相続する財産の税額に対しては、まず1億6,000万円までは相続税がかかりません。
また、いくら相続財産が多くても、配偶者の相続分が法定相続分(相続人が第一順位なら2分の1、第二順位なら3分の2、第三順位なら4分の3 ⇒遺産をどれだけもらえるか)以内なら、相続税がかからないのです。
例えば、遺産が10億円あっても、配偶者が受け取る相続分が、法定相続分(2分の1とする)の5億円までなら、配偶者にかかる相続税はゼロです。
ただし、この配偶者控除の適用を受けるためには、税務署に申告しなければなりません。
申告期限は、相続税の申告・納付期限と同じく、相続開始から10ヶ月以内です。
この配偶者控除は大きいため、相続人が配偶者と子の場合、全ての遺産を配偶者が相続することにして、全体の相続税をゼロにすることもよくおこなわれています。
しかし、その配偶者が亡くなれば、多分(再婚などしていなければ)2次相続で全ての遺産を子が相続するので、その時は当然相続税がかかるでしょうから、長い目で見ればそんなに大きな得にはならないと思います。
国も当然それを見込んで、税制度を定めているわけです。
3. 未成年者控除
相続人が未成年者である場合は、20歳になるまでの年数に6万円を掛けた額(例:10歳の場合は(20−10)×6=60万円)が、税額から控除されます。
課税価格からではなく、最終的な税額からさらに控除されるので、結構大きな控除であると言えます。
4. 障害者控除
相続人が障害者(認定が必要)である場合は、70歳になるまでの残りの年数に6万円を掛けた額が、未成年者控除の場合と同様に税額から控除されます。
特別障害者である場合は、6万円でなく21万円を掛けた額が控除されます。
5.相次相続控除
相続があってさらに10年以内に相続が発生したら、最初に支払った相続税の一部を2回目の相続の相続税額から控除できる制度があります。
相続税にはこのように各種の控除がありますが、逆に加算つまり相続税が増えるケースもあります。
相続人が配偶者や直系卑属、直系尊属ではない場合、つまり相続人が被相続人の兄弟姉妹(代襲者としての甥・姪)や、被相続人の養子となった当該被相続人の孫(代襲相続人である場合を除く)や、第三者については、相続税の税額から20%加算されます。
なお、通常の養子であれば加算されることはありません。
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